今回はA Level取得も含めたイギリス大学受験のための2年間の流れを実体験をもとに書いていきます!
受験のために必要なもの
UCASアカウント
UCASはUniversities and Colleges Admissions Serviceの略称で、大学受験のプロセスに使われるインターネット上のサービスです。
イギリスの大学受験では大学とのやりとりはすべてインターネット上で行われます。
大学受験初めのステップは、このUCASのサイトでアカウントを作成すること。
この際、住所や学校名等の情報に加えて雇用記録なども入力します。
私が作成した際には両親の人種と職業を記入する欄もありました。。。もちろんこれによって大学入試の結果が変わることは…ないと信じたいです。
Predicted Grade (予想グレード)
これは学校内での模試の結果を考慮して、学校の先生が最終試験でどのくらいのグレードを取れるか予想してつけるものです。
例えば模試の成績が良く、このままのペースで行くとトップグレードを取れそうだと先生が判断するとA*がもらえる、といった要領です。
科目ごとにこのPredicted Gradeがつけられ、UCASウェブサイトを通じて大学へと送られます。
Personal Statement (パーソナル・ステートメント)
これは簡単に言うと、自己アピール文のことです。
4000文字、49行以内とフォーマットが決まっており、その枠の中で自分のことを最大限にアピールします。これはおおよそWord文書1枚分です。
パーソナル・ステートメントでは学問への情熱がよく重要視され、八割は自分の志望動機や学部に関することで埋めるのが典型です。残りの二割くらいで学校外でのアクティビティやスポーツ実積について書いたりします。
締め切りに間に合えば、いくらでも書き直しや手助けを受けられるので多くの人が学校の先生などに添削をしてもらいます。
Word文書1枚に自分の全てをまとめるのは中々大変な作業です。何回も書き直しをしたり、短い文法表現で同じ内容を書き換えたり…試行錯誤を繰り返して作り上げます。
以下の記事でより詳しくPersonal Statementについて書きましたのでチェックしてみてください♪
School Reference
これは学校の先生が書く調査書のようなものです。
基本的には、自分が取っているA Levelの担当の先生方が試験の結果や授業の様子などからそれぞれ短いパッセージを書いていくスタイルです。
志望学部に近い教科の先生は割合多めに書くのが一般的です。
その他の必要な資格
この記事を読んでいる人のほとんどは日本人…つまりはイギリス大学受験においてInternational Student(国際学生)扱いをされることと思います。
その場合は、英語力の証明も必要となります。
IELTSで一定以上のスコアを取るのが一般的な方法です。
必要なスコアは大学によって違いがあります。これは各大学のウェブサイトに明記されていますので確認が必要です。
ただし、各セクション・総合スコアがすべて7.0以上あれば、基本はそれ以上のスコアを必要とする大学はありませんので、そのあたりが目安でしょう。
受験のタイムライン
イギリス大学受験のタイムラインはオックスブリッジ(オックスフォード大学とケンブリッジ大学の略称)または医学部・歯学部を受験する学生とその他で少し変わってきます。
~A level 2年目の9月
イギリスの高校は9月始まりですので、高校が始まって2年目の初めにあたる時期です。
これまでに多くの学校で先ほど説明したPredicted Gradeが決定します。
早い学校では1年目の途中でこれを決める模試が行われることも。
この際、グレードに納得がいかない場合は先生との交渉バトルに。(笑)
交渉が成立するとグレードがアップしたり、失敗すると逆に下がるなんてことも…!
*これは完全に先生の主観的判断になってしまうことが多いです。そのため、学校によって高いグレードをもらいやすいなど不公平さが出るのでは?との疑問も多いです。ただし、このシステムは大学側と高校側の信頼関係により成り立っています。あまりにもPrediction(予想グレード)と実際のグレードに差が出ることが多いと、大学がその高校のPredictionを信用しなくなり次の年からの生徒の受験に影響を及ぼす可能性があります。そのため、高校の先生は公正なPredictionができるよう努めています。
10月15日
毎年変わらず10月15日はオックスブリッジと医学・歯学部受験生の出願締め切り日です。この日までにUCASに必要事項を記入し志望大学を5つ選んでインターネット上で送信します。
UCASはこれを統括して各大学へと送っていきます。
大学によっては、全員の出願を待たず優秀な受験生に次々とオファーを送るところも。
10月終わりにはもうオファーを受け取る生徒もいます。
10月末/11月初め
オックスブリッジまたは医学歯学部の締め切りが早いのは、後に技能テストを受ける必要があるからです。医学部はBMAT、オックスフォードの法学志望ならLNATなど専門により受けるテストが分かれています。
これの結果は受験情報に加味されます。
学部・大学によってはテストに加えて面接を行うこともあります。
1月15日
この日に受験生全員がUCAS提出締め切りを迎えます。
大学によっては、ここから審査に入っていきます。
UCASに添付された情報すべてを総合的に判断して合格不合格が決められ、その通知はメールを通じて出願者に届きます。
大学側はおおよそ3月終わりまでに全員に返答することとなっています。
5月・6月
この時期に本番のA Levelの試験があります。これまでに受験生は全員大学から通知をもらっており、オファーをくれた大学の中から自分の行きたい2大学を選択します(Firm Choice, Insurance Choice)。それ以外の大学からのオファーは、この時点で断らなくてはなりません。
オファーが条件付き(後程解説します)の場合は、その条件を満たせるように試験でグレードを獲得する必要があります。
8月中旬
ここで5月・6月に受験したA Levelの結果が発表されます。これはUCASのサイトから確認ができるほか、公式文書が学校又は家に届きます。
ここで発表されるグレードが大学からのオファーを満たすことで、ようやく大学に入ることができるのです。
もしここで選んだ2大学の条件をどちらも満たせないと、クリアリングというシステムを利用して受け入れてくれる大学を探すこととなります。
これは、まだ定員に空きのある大学に電話をかけて直接交渉するという方法です。
実質早い者勝ちの、なかなかシビアなプロセスです。できれば通りたくない道ですので、みんな頑張ってA Levelでしっかり成績をとれるよう努めます。ただし、クリアリングを利用することはレアケースではないのも現状です。
9月~
オファーをもらった大学での生活が始まります!大学によって始まる日付はバラバラですが、多くが9月の終わりにターム開始となります。
(おまけ)オファーの種類について
オファーには条件付きと無条件の二種類が存在します。
条件付きオファー(Conditional Offer)
大学側がA level の成績を指定して、それ以上の成績を取ることでようやく大学に入れるというもの。これが一般的。ふつうは3教科の成績が指定される。
無条件オファー(Unconditional Offer)
これはA level の成績に関わらず大学に入れるオファー。Prediction Gradeが大学ウェブサイトにある出願目安のグレードを大きく上回るなどで発生する。
これがもらえた学生は実質A level の勉強をする必要がなくなるので、遊び惚ける人も多数。よって、もらえるとめちゃ嬉しいやつです。
もしくは、ギャップイヤーを取って出願する生徒はすでにA level を受験済みで実際のグレードがある(Predictionではない)ので、オファーは必然的に無条件となります。
以上が大学受験にあたるA Level2年目(17歳)の大まかな流れです。