【イギリス大学受験の要】パーソナル・ステートメントについて解説

イギリス留学

 今回はイギリス大学受験に必須な要素のうちの一つ、Personal Statement(パーソナル・ステートメント)について詳しく書きたいと思います。

*以下、パーソナル・ステートメントは略してPSと表示します。

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Personal Statementとは?

私の過去記事より:

これは簡単に言うと、自己アピール文のことです。 4000文字、49行以内とフォーマットが決まっており、その枠の中で自分のことを最大限にアピールします。これはおおよそWord文書1枚分です。

https://ukandjapan.com/ukuniadmission/

 Word一枚分の文書に自分が学問にかける情熱をすべてつぎ込む、ということです。

多くの人が志望学部の範囲で興味のあるトピックやそれについて読んだ本などを書き連ね、「私は成績優秀なうえに学校外でも勉強してるんだよ!」とアピールします。

PSは、A levelの予想グレード・学校の先生の書くReferenceとともに大学に送られて選考の材料になります。

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どうして受験の要なの?

全国共通試験であるA Levelのしかも学校の先生が予想した成績と、先生の生徒に対する評価、そしてこのPSだけで合否を決めなくてはならない大学側。この三つのうちで最も差がつけられるのが、PSであります。

例えばA Level。A*が最も高いグレードであり、そこからA,B,C,D,E,Uとありますが、トップ大学を狙うほとんどの生徒はA*もしくはAばかりの予想グレードを持って大学に出願してきます。

昔はA*というくくりはなくAが最高でしたが、優秀な生徒はみんなAを取ってしまうために差がつかなくなってしまい、グレードにA*が追加されました。

現在はそのA*ですら多くの学生が取ってしまいます。要はA Levelの成績はインフレを起こしているのですね。

そうなると、トップ大学においてどの生徒もA*かAばかりが並んでいる….つまり合否を決める決定打になりにくいのです。

そのために、個人的な理由も含まれており合否を決めやすいPSが重要視されてくるわけです。

どんなことを書くの?

アカデミックな内容が基本!

PSは、必ず学問の話がベースです。基本は八割が学問について、二割程度は課外活動等についてと言われています。

志望学部の科目のうちで自分が特に興味を持って深堀りしたトピック、その際に読んだ本や参加した講義などなどがいわゆる「学問の話」です。その際に学校の授業外でやっていることを書くことで「あ、このひとは本当に興味があるんだな」と思わせることができます。

また、エッセー・コンペティション(作文コンクールのようなもの)などで賞を取った、や数学オリンピックなどに出場した、などでも能力の高さがアピールできます。

課外活動についても書くよ

課外活動について書く際も、それが志望学部の勉強にどう生かされているのかを明確にしたうえで取り上げます。

例えば、スポーツの試合で優勝したこと自体はPSに書いても自己アピールとはなりません。チームで培ったリーダーシップやコミュニケーション能力、また勉強とスポーツを両立するための時間管理能力などをアピールすると、PSに関連のあるものとして書けるわけです。

課外活動として書かれるのが最も多いトピックは職業体験(Work Experience)でしょう。

これはイギリスのほとんどの生徒が夏休み期間中などに行う、実際に職場で仕事を経験するプログラムです。多くの企業のサイトでプログラムが紹介されています。

これも、志望学部に関連のある会社において行います。例えば法学部(Law)志望なら弁護士事務所、医学部(Medicine)ならNHS(イギリスの公的ヘルスケアサービス)などなど…ウェブサイト等から自分で探す人もいますが、両親や知り合いのつてを通して紹介してもらう人がかなりいます。ここでもネットワークづくりの必要性を感じさせるイギリス。

どのように書かれるの?

まずは自分が何について書きたいか考えて大まかな形を作っていきます。興味のあるトピックのなかでも一番アピールポイントの多いものをいくつか選び概要を作って書いていってみます。

最初は字数等を深く考えず、書きたい!という気持ちに従っていくといいでしょう。

おおまかなものが書けたら志望学部の専門の先生や英語の先生等に見せます。

専門の先生と一緒にファクトチェックをしたり、さらに深い事柄を追加してみます。

英語の先生は文法を添削してくれるほか、単語を書き換えたりしてよりニュアンスが伝わるようにしてくれます。また、字数カットのために言いまわしを変更するのも手伝ってくれます。

「強い」PSと「弱い」PS

強い(Strong)PSとは、大学側が合格を出しやすい理想的なものを指します。弱い(Weak)ものはその反対です。

強いPSの特徴

ユニークである

とある大学の説明会に行ったとき、アインシュタインの有名な言葉の引用を見せられました。先生が言うに、

「これが何か分かる?去年物理学部に出願してきた学生の15%のPSはこれから始まっていたんだよ」

大学側は何百・何千という数のPSに目を通します。そのうちの多数が同じ文言から始まると「またこれかよ…」と思われますよね。オリジナリティは非常に大切です。

これはみんなが誰かのPSをコピーした結果ではなく、ただみんなが同じようなことを考えていたから起きることなのです。

個人的である

ユニークなPSを書くためには、どうしてその学問に興味を持ったかの個人的な理由を書いていくことが必要です。

志望する学問自体の面白いところを書いていくとどうしても他と似よりがちですから、PSをもっと「自分とその学問の関わり」についてにすることでオリジナリティを出すことができます。

例えば自分の家族間で起こった出来事、友達と話したことなどについて書くことで立った一つのPSができるわけです。

もちろんそれが学問にしっかりリンクする必要があります。そこのリンクが弱いと、無理やりパーソナルなものを書こうとして失敗した人….になってしまいます。難しいですね。

受動的な言葉を避ける

これも有効なテクニックです。簡単な例を紹介します:

修正前:I was required to participate in the event…. (あるイベントに参加する必要があった)

修正後:I found the event (on the Internet etc.)….. (あるイベントを見つけた→(そして参加した))

修正前は「行かされた」感が強いのに対し、was required to を除くことでより「自分が興味がある分野なのでリサーチしているうちに見つけた」ニュアンスにできるわけです。これにより学問に対する興味の強さと自分から行動する行動力をアピールします。

さらに、これにより全体の字数カットにも繋がります。PSの字数カットのテクニックは、言いたいこと自体を減らすのではなく言い回しを変えることで同じニュアンスを少ない字数で表すことにあります。

弱いPS

PSの書き方サイトなどを覗くと、よく「頻出の単語」が出てきます。PSに使われやすい単語ですね。例えば

  • interested in …
  • passionate
  • time-management 
  • I have always enjoyed …

などはよく使われるようです。これらの言葉はPSからユニークさを失わせていきます。

他にも、弱いPSの特徴には「何も意味を為さない言葉」が多く使われる、というのがあります。ここでの「意味を為さない」は、たとえば

I have a thirst for knowlege. 

(知識を渇望しています。)

や、

I am a higly motivated person.

(私はモチベーションの高い人です。)

などです。大学側は

「いや、知ってるわ!だから出願したんやろ?」

って思ってると思います。これらの言葉、PSに書いてあってもなにも補強してくれないんですね。実際、大学はそういう人たちが出願してきているという前提のもとPSを見ています。よってこれらは「意味を為さない」文たちです。

パーソナル・ステートメント、各大学によって重きが違うとはいえ、どの大学でも重要なのに変わりはありません。そのために、学生は何回も下書きをしては添削し…を繰り返すのです。

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