ギャップイヤーをご存知でしょうか?日本の学生にはあまり馴染みのない言葉かもしれませんが、イギリスの学生にとっては進路決定の際によく耳にする選択肢の1つです。
これは高校卒業から大学入学までの間を一年間空けて、インターンシップやボランティア、旅行などをして過ごすオプションのことです。大学卒業から修飾までに一年間空ける種類もあるようですが、今回は大学入学前のタイプのものに関してご紹介します。
ギャップイヤーのタイプは2つ
Re-taking/Re-applying
A Level試験の結果がよろしくなく大学からのオファーの条件を満たせなかった生徒にはいくつかの選択肢があります。
1つ目はクリアリングといって、大学に直接電話交渉して学部に空席はあるか、取得したA Levelのグレードで受け入れてくれるかを交渉するものです。
2つ目がこのギャップイヤーを取るという選択肢。一年間、日本でいう「浪人」状態となり来年夏にA Levelを再受験して自分の納得のいく大学に入れるよう再チャレンジします。
または、オックスフォード大学・ケンブリッジ大学などの名門校に合格できなかった人がギャップイヤーをとって再チャレンジするケースもあります。この場合はA Levelは再受験せずに大学のみを受け直す人が多いです。
Deferred Year
これは大学からギャップイヤーを取ることを前提にオファーをもらうシステムです。
出願する際にギャップイヤーを取得するかを選択するステップがあり、「取得」を選択すると大学入学年が一年遅れた状態で大学に情報が送られます。
これは「大学に入る前に1年間自由な時間が欲しい!」と思った学生が計画を立てて取得するもので、本来の意味でのギャップイヤーはこれでしょう。
大学によってはギャップイヤーの計画書をオファー選考の材料の一部にすることもあります。
今回の記事ではこちらの定義でのギャップイヤーについて話していきます。
どんなことをするの??
世界旅行!!
これはリッチなキッズに限られたオプションですが…。(笑)
1年かけて世界を旅するためにギャップイヤーを取る人もいます。
イギリス人に人気なのはタイやマレーシアなどの東南アジア諸国です。
インターンシップ・ボランティア活動
ギャップイヤーを取る人のうちには将来の明確な夢やビジョンがある人も。
発展途上国で英語を教えたり、はたまた一流企業のインターンシップを取得したり….人によって様々ですが、何か夢中になっているものを持っている人にとって1年間の自由時間は大きな役割を果たしています。
企業・団体側もギャップイヤー中の生徒のためのプログラム等を用意しているところが多くあります。
精神のリフレッシュ!
…って書くと大学をサボってるだけでは…とか言われてしまいそうですが、違います。
大学受験を終えて数か月でもう大学生でまたたくさんの課題に囲まれて生活、というのはどの国でもストレスが溜まるものです。
一部の生徒にとって、それは心の健康状態を大きく害することもあります。
ギャップイヤーを取る人が少なくないイギリスだからこそ、心がいっぱいいっぱいになってしまっている人々も不安になることなくギャップイヤーを取り精神を落ち着けることができる、と私は思います。
心の状態を理由に追い込まれて大学をドロップアウトしてしまったり、はたまた自殺してしまったり….という生徒はイギリスにもいます。ギャップイヤーは、精神負荷の高い大学生活を乗り切るためにまずは一息つくことが必要な人にとっての選択肢でもあるのです。
ギャップイヤーのメリット・デメリット
メリット
一息つける
先ほども書いた通りです。1年間、大学に向けての準備ができます。もちろん全員が1年も準備期間が必要とは言いませんが、一部の生徒にとってはとっても大事な期間となるものです。
人生のうちで貴重な体験ができる!
これから大学に入って、卒業して就職して、働いて、、、という人生の中で、一年間も自分のやりたいことのみに集中できる期間を作れる人が、どのくらいいるでしょうか???
ギャップイヤー期間中にやること、出会った人、失敗談まで…どんなことでも、人生のうちでもとっても貴重な体験となります。
デメリット
理系学部生は取得しずらい
多くの大学では数学部志望の学生がギャップイヤーを取ることを奨励していません。禁止ではありませんが、出願の際に障害となってしまう可能性を秘めています。その他の理系学部に関しても、大学によってはあまりよい印象を抱いていないところも多いです。
その代わり、言語系の学部ではギャップイヤーを取ってその言語の話される国に留学・旅行をすることが促されていたりもします。
金銭的余裕が要る
お金が要ります。
そのため、まるまる1年旅行等に時間を費やせる人はほんの一握り。
ほとんどのギャップイヤー学生は1年の半分ほどをバイト等の旅行費用稼ぎに費やします。
もちろん自分の将来にとって役に立つ仕事を得て充実した費用稼ぎ期間を送る人もいますが、きちんと計画を立てていかないとただ1年大学に行かず働いた人になります。
ギャップイヤーの計画立ては非常に重要です。
イギリス人のあいだで、ギャップイヤー取得は一般的です。だからなのか、大学に入って友達との年齢差があることに関して目くじらを立てる(?)人がいませんね。
学生の時期に色んな選択肢を提供してくれるイギリスの大学受験システム・ギャップイヤー。少しでも皆さんにお伝えできていれば嬉しいです!